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エゴイスト
とてもわがままな人だった。
いつだって自分が王様だと思っているような態度だったし、実際に彼は王様だった。
自分の気に入らないことは絶対に許せない。
いつかの夏の夜だって、男友達の話をしていたら突然怒り出して、
「俺以外の男を見るな」
と言って私を壁に追いつめたりした。
「だけど、とてもセクシーな人だったわ」
私はうっとりと目を閉じて、あの人の面影を思い出す。
髪は太陽のように赤かったかしら。
もう顔も、背の高さも、もしかしたら声も忘れかけているかもしれない。
ただ、彼がいつも纏っていた"エゴイスト"という名の香りだけは、いつまでも鮮明に覚えていた。
2017/06/12(月)
19:49
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