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彼がひどく切羽詰まった顔で突然謝り始めた。

「ごめん、俺は君にとてもひどいことをした」

謝って許されることじゃないけど、と彼は頭を垂れた。
私はそっと彼の肩に手を置いて、顔を上げるように促した。

「気にしてないわ。誰だって間違うことはあるもの」

彼はひどく驚いて大きく目を見開いた。
そして口を開きかけたまましばらく考え込んで、私の顔を見つめてこう言った。

「まるで君が別人のように感じるよ」

何かをごまかすように鼻の先を擦りながら彼が笑う。
私は黙って微笑み返した。
 
 
本当に。
いつだって、誰よりも鈍くて可哀想な人。
別人なのだと気付くまでに、あと何時間かかるのかしら。
2017/11/03(金) 02:47 [001] PERMALINK COM(0)
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