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久しぶりに何もない休日だった。
その日はとても天気のいい日で、僕たちは朝食のためにコーヒーメーカーをセットしたあと、
住んでいるアパートメントの屋上に洗濯物を干しに上がった。


老朽化した旧時代の高層アパートメントの屋上はコンクリートが剥き出しで、
あちこちに折れたアンテナが立てられたまま放置されている。
僕たちはその合間を縫って洗濯物を干さなければならない。

シーツのような大きなものは場所を取るので、梯子で物干し台に登って干す。
僕がアンテナ広場で小さなものをせっせと干していると、大きなシーツを干し終わった彼女が突然声を上げた。

「ねえ、私たち 100年前にもこうしていたと思わない?」

シーツの合間からちらちらと顔を覗かせて彼女がはしゃぐ。
コンクリート、ひしめくアンテナ、足下に広がる青空とビルの群れ。
きっと彼女にはかつて存在した、見たこともない城の屋上の景色が見えているのだろう。

僕は彼女の手から残りのシーツを取り上げて、もう片方の手を彼女に差し出した。

「さあ、そろそろ帰ろう。コーヒーが冷めないうちに朝食を食べなきゃね」

彼女はとびっきりの笑顔を見せて、梯子の上から飛び降りた。
 
2018/01/20(土) 03:57 [002] PERMALINK COM(0)
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