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手紙を捨てた。
10年間彼から届き続けた沢山の手紙。
何通あるのか数えたこともない。
いつも読むのに苦労するほどぎっしり書かれていた。
彼は時々、贈り物をくれた。
それにも必ず手紙が添えてあった。
とにかく手紙が好きな人だった。
そう、まるで彼の本体は文章であるかのように。
彼は今もどこかで手紙を書き続けているだろう。
私ではない女に。
そして私にしたように、贈り物をし、甘い言葉をささやき、くすぐるようにキスをするのだろう。
真っ白な紙の上で。
今でも思う。
彼は本当は真っ白な紙の束で、私はその紙の束を抱きしめていただけなのかもしれないと。
2018/12/09(日)
02:47
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