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私達は真夜中の渋谷を、一晩中キスをしながら歩いた。
ガードレールの脇で、電柱の影で、自販機が光る路地裏で。
信号が青になったっておかまいなし。
私達は横断歩道の真ん中でだって立ち止まってキスをした。
誰もいない。車も通らない。
今夜、この街は、私達だけの物なのだ。


もうすぐ夜が明ける。
踏切の手前で、カンカンと音が鳴ったので立ち止まった。
隣を見ると、さっきまで手を繋いでいた彼女が、いつの間にか消えていた。

目の前を電車が通り過ぎる。
遮断機が上がった。
踏切の向こうで彼女が笑っている。
私は彼女に駆け寄り、この夜 186回目のキスをした。


もうすぐ夜が明ける。
 
2017/06/04(日) 04:07 [003] PERMALINK COM(0)
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