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「雨が降ったら、デートは中止にしよう」

5年前の今日、彼はそう言った。
その時と全く同じトーンで、彼が言う。

「雨が降ったら、別れるのはやめよう」

私は透明な傘で彼と自分とのあいだに境界線を引いた。
これは私と彼の赤道線だ。
この線を境に、私達は二度と交わらない平行線になるのだ。

「たとえ嵐が来てもあなたと別れるわ」

彼が悲しそうな顔をした。
まるでもう彼の側にだけ雨が降っているかのように。
彼が右手に持っている傘を差す。
私も透明の傘を開く。

「空が見える傘も、何の役にも立たなかったわね」

彼の差す傘の内側に、鮮やかな空が広がる。
私達は境界線で向き合いながら、いつまでも別々の空を見ていた。
 
2017/06/29(木) 21:25 [001] PERMALINK COM(0)
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