お気に入りの下着の飾りレースが絡まって、ちぎった綿の破片のようになっていた。
私はため息をついて、その下着を普段着用のチェストの中に放り込んだ。
初めて一人旅をした日に着けていたのがこの下着だった。
ソーダキャンディみたいな水色にイチゴミルクのような水玉模様が散っていて、
左の胸元に大きめのリボン細工が施されている。
考えてみれば、今の私にはすこし子供っぽすぎるかもしれないデザインだった。
ちょうどいい頃合いだったのかもしれない。
このセンチメンタル・ソーダを初めて見せた相手にも、もう何年も会っていない。
そうして私はかつての"特別"に思いを馳せる。
"特別"が"特別"でなくなるのは悲しい。
しかたない。ずっとそのままではいられないのだ。
私はお気に入りの下着を入れていたボックスから、弾の入っていないモデルガンを取り出した。
そしてちぎれた綿菓子になってしまったセンチメンタルに向かって「バーン」と引金を引いた。
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