「宇宙みたいでしょ」
水色のドリンクを飲みながらじっと私の指先を見つめる彼に話しかける。
私の爪は深い夜の色をしていて、その上に銀色の小さなラメがたくさん散りばめられていた。
「こないだは、夏の海だったね」
彼が言う。
私はしっかり頷く。
先月は、夏の海を爪に載せていた。
透きとおるように明るく薄いエメラルドブルー。
そして照りつけるオレンジ色の太陽。
私は、自然に起きることしか爪の上に載せない。
「雨が降らないかしら」
彼が怪訝な顔をして空を見上げる。
そういえばこの人は雨を嫌うのだったな、と思い出した。
だけどそれが何だと言うのだろう。
彼には、いつでも晴れた青空が広がる魔法の傘があるのに。
「雨が降ればいいのに」
彼がこちらに振り返る。
私は指先をぴんと伸ばし、彼に向かってひらひらと手を振った。
「もちろん、この爪の上で、ね」
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