週末のハンバーガー・ショップで、私達は数年ぶりに向かい合って食事をとっていた。
もっとも、オレンジジュースを一口啜るあいだ以外は一瞬たりとも止まない彼の話をBGMに、
冷めていくチーズバーガーをただ眺めることしかできない状況を”食事”と呼べればの話だけど。
一緒に頼んだジャガイモのチップスに油が回ってしなびてしまっても、まだ彼の話は続いていた。
彼は恍惚としながら昔の話を語っている。
ああ、昔話!
この世で一番、私がピクルスよりも嫌いなもの!
「ねえ」
黙っていれば永遠に続きそうな彼の話にうんざりしながら、
私は油まみれのチップスをつまんで口に放り込んだ。
「昔話ほど不毛なものってないと思う」
視線を上げて彼の反応をうかがった。
彼は黙ってコークのストローをくわえている。
私はもう一度、同じ言葉を繰り返した。
「昔話ほど不毛なものってないと思うわ、特にあなたみたいに話の長い人のは」
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