十数年ぶりに、昔大好きだった女の子に再会した。
もう二度と会えないと思っていた彼女は、たった数キロメートルしか離れていない街で、
真夏の太陽のような柄のパラソルを売っていた。
「久しぶり。元気だった?」
パラソルを買うふりをして彼女に近づき、声をかける。
一瞬怪訝な顔をされたが、すぐに「ああ」と頷いてくれた。
「誰かと思ったわ。びっくりしちゃった」
そう言って口をもごもごさせながら、笑ってパラソルを畳み始める。
彼女は生まれて初めて好きになった女の子だった。
パンクロックが好きで、太陽が嫌いで、そばかすを気にしていた女の子。
赤茶色の短い髪とチラチラ光るグリーンのピアスが、世界中の何よりもキュートだった。
「君のショートヘアが大好きだったのに」
あの頃よりも暗いブラウンの腰まで伸びた髪を眺めながら、思わず呟く。
その瞬間、ガリッという音がして彼女の口の動きが止まった。
そして彼女は噛み砕いたキャンディと一緒に吐き捨てるように言った。
「だから伸ばしたのよ」
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