「俺はもう何度も禁煙に成功している」

3本目の煙草に火をつけながら彼が言った。

「成功してないじゃない」

堂々と煙草を吸おうとする彼に思わず突っ込んでしまう。
するとその瞬間、彼の顔から笑みが消えた。

「いつでもやめられるって言ってるだろ!」

温厚な彼が初めて私に怒鳴った瞬間だった。
もしかしたら殴られるかもしれない、と思ったが、彼は手を上げることはなかった。

「その気になれば、いつでもやめられるんだよ」

彼がゆっくりとした動作で煙草を吸う。
私も。
その気になればいつでもあなたとの関係をやめられるわ、と思ったが、今度はもう口には出さなかった。
 
2017/06/17(土) 17:45 [001] PERMALINK COM(0) TB(0)