無事に合流できた私達は、歩いて海に向かうことにした。
彼は半透明なので、バスに乗ることができない。
もちろん気づかれないように乗ることは可能だけれど、優しく正しい彼は決して"ズル"を許さない。
地図を持たずに来たので道が分からなかったけど、不安はなかった。
私には海のにおいが分かる。
きっと彼にも分かるのだろう。
私達は、何も言わずとも同じ方角に向かって歩いていた。
「まっすぐ歩いていけば、いつか海にたどり着くよね」
隣を歩く彼に尋ねた。
半透明の彼はずっと微笑んでいる。
海に着いたらアイスクリームを食べよう。
彼もきっと冷たいアイスクリームが好きなはずだ。
海を目指して。
オレンジの太陽が沈む方角に向かって、ひたすら歩き続ける。
私達の道のりは長い。
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